タイ・イサーン記10

ピマーイ遺跡

  

彼女夫婦の車でピマーイに向かう。

彼女はバッグ一杯の演歌のカセットを持ち込んで来た。

小林幸子が大好きだそうだ。

次々にいろんな話を聞かせてくれる。

「4年前に交通事故して、おお怪我をしたの」

と背中を捲くる、背骨が無残に変形している。

「だから、子供が生めないのヨ、主人に申し訳なくて..」

「日本に恋人が居たの、自衛隊員だったけど、

其の人、他の人と結婚してしまったのヨ。 悪い人ヨ」

演歌の意味も良く判るらしい、切ない別れの曲になると彼を思い出すようだ。

「男も女も悪い人、良い人居るヨ、タイでも同じ、あんた、気を付けてよ」

この、「あんた、気を付けてヨ」を何回も繰り返す。

 

通りすがりの目に付く木、草、野菜の名前を一つ一つタイ語で教えてくれる。

「スリンの象祭、凄いよ。 あんた来なさいヨ。 

タイ中から200匹の象が集まって来るの。 

祭の日は、私は朝から大変、家の前に象の食べ物を並べるの、象はいっぱい食べるヨ。」

日本語の解せない旦那はもっぱら静かに運転している。

 

ピマーイ遺蹟

代表的なクメール遺跡だ。

四方1kmの城壁に囲まれた聖域の跡、1000年前の豪華さが偲ばれる。

此処も奇麗に修復され公園化している。

2、30mもある仏塔が中心、

 


 堂の四方の入口の彫刻、





ヒンズーの神々やいろんなポーズで優雅に踊る天女の群、



今にも飛び出してきそうな兵士達等々、
緻密な彫刻が数限りない。








公園の彼方此方に修復しきれなかった彫刻が、置物のように置かれている。

彼女は前に来た事が有るらしい、木陰のベンチに腰を下す。

或いは長いドライブには耐えられない体なのかも判らない。

旦那の方は、あちこち、丹念に見回っている。







つづく

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