メコンに沿って(17)


メコンの夕焼けを堪能

座敷で日本人の客と難しそうな話をしていた女主人が話し掛けて来た。



我々がこれから行こうとしているパクセーで生姜工場を経営しているとのことだ。
殆ど日本へ輸出している関係で日本人の知り合いが多い。
私が静岡県に住んでると言うと、
一杉、勝又、勝呂、等々静岡に多い苗字がポンポン飛び出す。
梅干しも作っているそうだ。
50歳くらいか、彫の深い目鼻立ち、潤んだ瞳に若い時のラオス美人振りの面影が残る。


ラオスの女も強い

寝そびれて、ベランダから表通りを見下ろしていると、2、3軒先で壮絶な喧嘩が始った。
30代位の男女が取っ組み合っている、夫婦らしい。
女の方が唸り声を上げて猛烈な勢いで男に襲い掛かる、
男の方は大声を上げてこれを引き離す。
道端に止めてあるピカピカの乗用トラックの荷台で、
子供が三人、身を捩りながら心配そうに成り行きを眺めている。
中から出て来た二人の男が中に入った。
やがて、雄叫びも次第に静まり、元の闇夜が戻った。
何処にも人間が居て、男が居て、女が居て、子供が生まれて、
慈しんで、いがみ合って..人生が有るのだ。


辛抱強く待つトゥクトゥクのお兄ちゃん

朝、何気なく外を見ると、昨夜乗って来たトゥクトゥクのお兄ちゃんが店の横で、
車の座席に足を投げ出している。
我々が出掛けるの待ってるらしい。
女主人がパクセーへの切符を予約してくれる。
今日の午後便は満員、明日の朝一番の便が取れた。
  ビエンチャンからパクセー、一時間半、97$、月曜日は朝便と午後便が有り、
午後便はパクセー経由でプノンペンまで行く、他曜日は一日一便だ。

昼飯時、店が立て込んで来た、商社マンらしい日本人の連れが幾つかと、
フランス人のアベック、ラオス人らしい青年の一団もいる。
相棒は、鶉の空揚げを齧りながらのラオラオレッドワイン、
これはラオス焼酎に何か果樹酒を混ぜたものらしく赤味がかっている、
彼はこれが好みでご機嫌だ。
こちとらは日本酒に納豆でご機嫌。

昼寝して表に出ると、例のトゥクトゥクのお兄ちゃんがニコニコしている。
朝からずっと待っていたらしい。
泰国農民銀行で、TC$をキャッシュ$に両替、200$が195$、手数料が5$。
凱旋門に登ろうとしたら閉門、昨夜は不気味だったが、
長閑な陽光の中に立つ昼間の凱旋門の周辺は、
幼児が戯れ鳩が飛び、いとも穏やかな風景だ。


メコンんの夕焼け

今日のお目当てはメコンの夕景、時間潰しに近くのビヤーホール。
何処かで見たことが或ると思ったら、やって来たボーイは昨夜と同じボーイ、
何のことはない、昨夜と同じビヤーホールだ。
昼間と夜で雰囲気がガラリと変わってしまうのだ。

未だ明るい内から、メコンの川岸に屋台がズラリと並ぶ、











流石にビエンチャン、屋台の規模が違う。
チェンセーンやチェンコーンと違って、端が見えないほどテーブルと椅子が並ぶ。
日が傾き、空もメコンも真っ赤に染まり始めると、
その屋台のどれもが客で溢れ出す、夕日を好むのは人類共通らしい。


 帰り掛けるとトゥクトゥクが寄って来る、なんと、例のお兄ちゃんだ。
さっき、降ろしてもらった所からは大分離れているのに。
商売熱心さにほだされて、明朝の空港までも予約した。

「古都」に戻って、冷やっこと辛子明太子で飲み直し、
明日からは暫く日本食には有り付けない。
 
  女主人、
「パクセーで時間が有ったら、私の工場に寄りなさい。
私はこれからバンコクを廻るので、四、五日したら、パクセーに居ます」
渡された名刺には Presidentとある。
「ついでに、この荷物、パクセー空港に息子が迎えに来ますから渡して下さい」
と小さな荷物を二つ預かる。

つづく


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