メコンに沿って(22)

凄まじいコーンの滝

小さな尖ったボートで対岸のハッサイクンと言う村の船着場に付くと、トゥクトゥクが待っている。
運転手の他に若者が三人。
少し走ると、奇麗に舗装された幹道、バクセーからカンボジャへの道が完成しているらしい。
  案内書には「死の苦しみ」と有ったが、ここも変化が早い。

一時間もして横道に外れると、滝音がだんだん激しくなる。
こんもりした広場、何軒か駄々広い茶店が並んでいる。
少し歩くと展望台、目前に凄まじい波しぷきを上げるコーンババンの滝。

 









音も無くトクトクと流れて来たメコンが一斉に怒涛を上げて流れ落ちる。
思ったほどの落差はないが、川辺の彼方此方から、うねり落ちる様は圧倒される。



男神の浮気に怒り狂った女神の形相だ。
脇道を辿ると、滝の雫を浴びるほどまで近付ける。



投網を操る男が激流に挑む、
滝壺に大鯰が集まる絶好の漁場なのだそうだ。
岩と岩の間を渡した丸木に両手両足でぶら下り場所を変える。



傍らの岩陰には奥さんがじっと見守っている。
今日は不漁らしい。
やがて、男は、首を横に振り振りして上がって来て、私の隣に座り込むと、
「煙草を呉れ」
と言う仕種だ、最後の一本を上げる。
美味そうに途中まで吸うと男は半分を耳の間に挟んだ。

茶店に入る。
店の前に、1mもある大トカゲが繋いである。



「これを食わないか」
と誘われる。
相棒は舌なめずりをしているようだが、如何にも大きすぎる。
まだ、動いている鯰を焼いてもらう。
焼き立ての鯰とビールで最高の気分だ。


つづく

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