メコンに沿って(21)
雄大なメコンの流れに息を呑む

兎に角、乾杯しようとレストランに駆け込む。
二人で唸り声を上げる。
迫り出した座席の眼下をメコンが音も無く、ただただ、ひたすらに流れる。 
向こう岸まで3kmも有るだろうか、時には渦を巻き、時には颯爽と流れるメコン、







「これぞメコン!」
二人でジョッキをぶつけ合う。





少しオーバーに言うと、
清水の舞台から眺めた京都の街が真っ平らなメコン、とでも言おうか、
その手摺に腕を凭れて、ビールを飲みながらメコンを眺める。 
これが有るから旅は止められない。

こんな景色を誰かに見せて上げたい、誰と誰だろう?
豊穣な女神の胸懐に居る、そんな感じなのだ。
3、40人の席は満席、印度系の美人が一人、後は白人、男女半々くらいか。
中年、子供も交じるが殆どが若者だ。
英語、フランス語、ドイツ語が乱れ飛ぶ、あとは判らない。

 



 



夕日が落ちると同時に
真っ黒な雲がメコンを覆い被さり、あっと言う間に夜の闇に包まれる。

稲光が川面を照らす、対岸に見える灯りは一つ、更に眼を凝らすともう一つ、
この広い視野の中で灯りはたったそれだけだ。
気が付くと星が出ている、そんなにクリヤーな空では無い筈なのに、
幾つかの星が光り、だんだん、数え切れなくなった。
夕闇の迫る前から、ただただ、メコンを眺めての2時間半だ。

明日のコーンの滝船ツアーは満員だそうだ。



メコンに飛び込む子供達

早朝、相棒が釣りから帰る。
暗い内から念入りにゴソゴソと支度して出て行ったのに無収穫の様だ。
朝日に輝くメコンを眺めていると、ビールが欲しくなる。
店の親父とツアーの交渉、
今日明日、船は空いてないが、トゥクトゥクなら午後有る、しかし、大滝だけだ。
15$で決定。
昨日、娘さんは20$と言っていたのに。

英語は巧い22歳の娘さん、既に遣り手婆さんの面持ちが有る。 
両替も、目が飛び出るほどの低率、
試しに近くのラオス人の店で換えたら、すこぶる率が良い。
ここも中国系が 気の好いラオス人の中で、一手に懐を暖めている感じだ。
この商魂では、次に来た時は、多分、ビルが出来ているであろう。
中学生位の妹はメンコイ、カメラを向けるとはにかんで、くるりと向こうを向いてしまう。



「ドボン、ドボン」
と音がする。 裸の子供たちが、木の枝からメコンに飛び込んでいる。



一寸大き目の女の子は下半身にスカートを巻いている。
飛び込む時に、そのスカートの裾を抑える姿が微笑ましい。

付近を散歩する。
古いお寺の境内に赤、青、黄色の花、どれも彩度が高い。







田植えをしている編笠の二人、顔を上げると、ハット とするような笑顔が覗く。







水田と民家の間に人の踏み跡だけある細い路地、水牛を曳く女の子と行き交う。
歩いてみると、結構、他にも何軒か宿がる。
木造りで全面に大きな窓の洒落たコーテージ風から、
いかにもラオスって感じの民宿風まで、民宿風の一軒を冷やかしてみる。
 ACが無く扇風機で15000キップ、随分と安い。 テラスには白人の若者が屯している。
夕方になると、こんな宿から例の舞台の有るレストランへ繰り出して来るのだろう。

つづく

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