メコンに沿って(20)

着いた田舎港にはトゥクトゥクが無い!

「此処だ」と言われ慌てて船を降りる、降りたのは我々だけだ。



着いたのは小さな部落部落、
四、五軒の民家と小さなお土産屋、
粗末な食堂、その食堂に腰を下ろす。 
冷えたビールが無い。

降りた所はメコンの川中の一番大きな島、コーン島の西端、
今日の目的地は島の東端のムアンコーン、ここから8km程有る。
トゥクトゥクくらいは有るだろうとたかを括っていたが、何も無い。
「ムアンコーンまで行ってやる、乗れ」
とオートバイの男が寄って来た。
二輪車に3人乗りは身の毛がよ立つ。
一人の男が、
「その内にトゥクトゥクが来るよ」
と教えてくれたような気がした。
どうしたものか決め兼ねて、暫く村をウロウロする。

50歩も歩くと村外れ、東に真っ直ぐ土の道が伸び、遥かに水田が続く。
村外れの万屋には僅かの日用品、煙草、薬草が並び、
ベンチで人の良さそうな親父が煙草を吹かしている。



 

煙草を買って親父の隣に坐る。
「何処から来た?」
「日本」
「好い天気だね」
「そうだね」
何語で話したか忘れたが、何とか話が通じるものだ。
「トゥクトゥクは来るの?」
「もうすぐ来るよ」
そんな話をしている内に、トゥクトゥクの音が近づて来た。


あわや野宿?

15000キップを14000に値切って走り出そうしたらエンジンが掛らない。
「急ぐ旅では無い」
一旦乗ったトゥクトゥクから降りる、
運チャンがあちこち弄りまくって、やっと、エンジンが掛った。
本当の、本当の田園地帯が広がる。
丁度田植えの時期、苗床の青が瑞々しい。
時々水牛が横切る未舗装の道を猛烈な勢いで走り抜ける。

土地が低いのだろう、時折、道いっぱいに水が流れる道を、
水飛沫を上げてトゥトゥクは走る。
エンジンの具合がおかしいと思ったら、水溜まりの真ん中でエンストだ。
長い間、セルの音が空しく響く。
野宿を覚悟する。



途中、二回もエンコしながら、兎も角、ムアンコーンの街に辿り着く。
運チャンが乗り付けたのは洒落たバンガロー風のゲストハウス。



白人が2、3人ウロウロしている。
25$を仲々値引きしない、未だうら若い女性だがしぶとい、
中国系? こちらもしぶとく粘って20$で交渉成立。
部屋に入ってACを入れてもつかない、
「約束が違う」
とごねると、
「すいません、ACは午後6時から12時までです。電力事情が悪いんです」
と顔を顰める。

つづく

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